この夏の参院選では憲法改正が争点の一つになるようです。選挙の結果、参院でも与党が三分の二以上の議席を確保すると憲法改正が現実味を帯びてきます。この場合の改正案は言うまでもなく自民党案です。主な改正内容は以下の通りで、改正されたら概ねこうなります。
◎天皇は「象徴」から「元首」に。◎「自衛隊」は「国防軍」に。現憲法9条の事実上の有名無実化。(いずれ徴兵制もあるでしょう。) ◎「家族が互いに助け合う」ということまで憲法に明記されます。余計なお世話ではと思うのですが。◎憲法の改正は現行の「三分の二以上の国会議員の発議で国民投票に」から「過半数の国会議員の発議」でよくなります。時の為政者の意思で簡単に憲法が変えられてしまう可能性が出てきます。◎憲法の厳守義務を負う者は現在、「天皇と国会議員及びすべての公務員」(立憲主義)ですが、今度は国民も憲法尊重義務を負うことになります。お前のところは家族が助け合っていないから憲法を尊重していないと言われるのでしょうか。◎個人の自由・表現の自由には〝公益や公の秩序に反しない〟という縛りがかけられます。旧大日本帝国憲法の「臣民は(帝国の)安寧秩序を妨げない範囲で信教の自由を有す」を思い起こさせます。公益や秩序を乱すのを判断するのは誰でしょうか。◎宗教的なことでは、地鎮祭は宗教行事ではなく社会的儀礼・習俗的行為とみなされ玉ぐし料の公費支出も認められてしまいます。
憲法は本来、国家(政治)を正しく治めていくために国や地方の政治に携わる者が守るべき法律であり、国民を縛るためのものではないはずです。このような改正(悪)は国家に国民を隷属させようとすることに他ならないのです。
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それぞれの力に応じて
去る4月14日に発生した熊本、大分を中心とする九州地方の地震はその後も大きな余震が続き、なかなか落ち着きを取り戻していません。被害を受けた皆さんが一日も早く安心した生活を取り戻せますようお祈りいたします。また、亡くなられた方々の魂の平安、ご遺族の方々へのお慰め、そして、未だ行方不明の方の発見を願うばかりです。
九州教区はいち早く支援室を立ち上げ活動を始めています。ただし、人的な制限もあるようです。必要なことは遠慮なく申し出ていただき、わたしたちもできる限りの支援をさせていただきたいと思います。
思い起こしますと中部教区では古くは濃尾地震、新潟地震、松代地震、中越地震、中越沖地震、松本地震、長野県北部(栄村)地震、三条水害等、多くの災害を経験し、多くの方々の祈りと支援をいただいてきました。他の人たちが自分たちのことを気にかけていてくれるということは本当に心強いことです。
使徒言行録にはユダヤ地方に大飢饉が起こったとき、アンティオキアの教会の弟子たちがそれぞれの力に応じてユダヤに住む兄弟たちに援助の品を送ったとあります。また、コリントの教会はエルサレム教会の窮乏に際して、「進んで慈善の業と奉仕に参加した」とパウロは書いています。さらにパウロはその支援を「自分の持っているものでやり遂げることです。進んで行う気持ちがあれば、持たないものではなく、持っているものに応じて、神に受け入れられるのです」と言っています。
一人一人の力は小さくてもその一人一人が祈りと具体的な支援において〝それぞれの力に応じる〟ことにより、精神的にも物質的にも大きな力と支えになっていくのです。引き続き皆様のお祈りとご支援をお願い申し上げます。
元米兵による女性殺害に強く抗議します!
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
防衛大臣 中谷 元 様
米国大統領 バラク・オバマ 様
在日米軍沖縄地域調整官 ローレンス・ニコルソン 様
元米兵による女性殺害に強く抗議します!
2016年5月19日、沖縄県うるま市で、元米兵の米軍基地で働く米軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者が、死体遺棄容疑で沖縄県警に逮捕されました。
1995年の米兵による少女暴行事件を筆頭に、事件後の再三の綱紀粛正にもかかわらず、同様の事件が繰り返され、沖縄の人々を傷つけてきました。米軍基地が存在するために、米兵や米軍属による被害は一向に改善される兆しがありません。この3月にも米兵による女性への人権を蹂躙する極めて悪質な性暴力事件が起きています。
規律が守られない軍隊はもはや軍隊でなく、在日米軍はよき隣人ではありません。民主主義のリーダーを標榜する日米両政府が、沖縄に米軍基地を過度に集中させ、住民の生活を犠牲にし、多大な人権侵害を放置してきたことに強く抗議します。軍隊は人を人とは見なさず、ためらいなく人を殺すことを目的とし、軍事基地では日々その訓練が行われています。軍事基地がある限り、市民の日常生活は脅かされ、中でも一番の犠牲となるのが、女性や子どもたちです。女性と沖縄への差別やこれらの犯罪を、わたしたちは「人間の尊厳を踏みにじることは神の創造を傷つける罪である」と信じる立場から見逃すわけにはいきません。米軍が駐留する限り事件は続発します。究極の防止対策は、米軍基地の撤退以外ないと確信します。
わたしたちは、元米兵による女性殺害に強く抗議します。
被害者の女性の魂が主の憐みによって、安らかに憩うことができますように。また、残されたご家族のみなさまへの主の慰めを祈ります。
2016年5月24日
宗教法人日本聖公会中部教区
宣教局 社会宣教部
聖書に親しむ会
熊本地震への対応(第1報)
聖公会の混乱… 聖公会首座主教会議より
今年1月、世界の聖公会の首座主教会議が英国・カンタベリーで開かれました。日本からは植松誠首座主教が出席されました。その報告は管区事務所だよりに掲載されていますし、管区事務所のホームページでも見ることができます。
植松主教は〝緊張感みなぎる中での開催〟と表現しておられます。なぜならば、全世界の聖公会は以前から人間のセクシュアリティーの問題で大きく揺れ動いているからです。特にアメリカやカナダの聖公会と、アフリカや東南アジアの聖公会との間にはその理解に対して大きな隔たりがあります。
今回の会議ではいくつかの課題が話し合われましたが、やはり一番大きな課題はセクシュアリティーの問題でした。と言うのも、アメリカ聖公会が昨年の総会で同性婚を認める法規の改正をしているからです。それに対して保守的な各国聖公会からは、同聖公会の決議は男女間の伝統的な結婚の教理の変更であり、全聖公会の一致を大きく損なうものであるとの強い非難がありました。
その結果、今回の会議ではアメリカ聖公会が向こう3年間、エキュメニカル、及び宗教間の会議においては全聖公会を代表しないということ、また、全聖公会の常置委員には選任されないということ、そして、様々な会議においては意思決定権を持たないという勧告が採択されました。これはアメリカ聖公会の全聖公会からの締め出しと言えるかもしれません。植松主教の話ではアメリカ聖公会のマイケル・カリー総裁主教は大変落胆しておられたそうです。
とりあえず今回は分裂の危機は回避されたようですが、依然として混乱と危機は続くことでしょう。日本聖公会としても早晩この問題についての何らかの見解が求められそうです。