今年1月、世界の聖公会の首座主教会議が英国・カンタベリーで開かれました。日本からは植松誠首座主教が出席されました。その報告は管区事務所だよりに掲載されていますし、管区事務所のホームページでも見ることができます。
植松主教は〝緊張感みなぎる中での開催〟と表現しておられます。なぜならば、全世界の聖公会は以前から人間のセクシュアリティーの問題で大きく揺れ動いているからです。特にアメリカやカナダの聖公会と、アフリカや東南アジアの聖公会との間にはその理解に対して大きな隔たりがあります。
今回の会議ではいくつかの課題が話し合われましたが、やはり一番大きな課題はセクシュアリティーの問題でした。と言うのも、アメリカ聖公会が昨年の総会で同性婚を認める法規の改正をしているからです。それに対して保守的な各国聖公会からは、同聖公会の決議は男女間の伝統的な結婚の教理の変更であり、全聖公会の一致を大きく損なうものであるとの強い非難がありました。
その結果、今回の会議ではアメリカ聖公会が向こう3年間、エキュメニカル、及び宗教間の会議においては全聖公会を代表しないということ、また、全聖公会の常置委員には選任されないということ、そして、様々な会議においては意思決定権を持たないという勧告が採択されました。これはアメリカ聖公会の全聖公会からの締め出しと言えるかもしれません。植松主教の話ではアメリカ聖公会のマイケル・カリー総裁主教は大変落胆しておられたそうです。
とりあえず今回は分裂の危機は回避されたようですが、依然として混乱と危機は続くことでしょう。日本聖公会としても早晩この問題についての何らかの見解が求められそうです。
未分類
講演会:なぜドイツは原発をやめることにしたのか
なぜドイツは原発をやめることにしたのか
~原発政策ドイツと日本のちがい~
日 時 2016年4月16日(土)午後2時~
お 話 池住義憲さん
(元・立教大学特任教授,日本聖公会名古屋聖ステパノ教会信徒)
会 場 日本聖公会名古屋聖マタイ教会・ホール
名古屋市昭和区明月町2-53-1(名古屋柳城短期大学向い)
*駐車場がありませんので、公共交通機関でお越しください。
入場無料。
池住さんは、今回のドイツへの旅で、確信と勇気を得て帰国された。ドイツの脱原発倫理委員会の6つの結論のポイント、
①原発の安全性が高くても、事故は起こり得る
②原発は事故が起きると、他のどんなエネルギーよりも危険
③次の世代に廃棄物処理などを残すことは倫理的問題
④原子力より安全なエネルギー源が存在する
⑤地球温暖化問題があるので、化石燃料を代替として使うことは解決策ではない
⑥再生可能エネルギー普及とエネルギー効率化政策で、原子力を段階的にゼロにしていくことは、将来の経済のためにも大きなチャンス
以上のことを、わたしたちも確認し、脱原発へ向けて歩みを進めるためのきっかけとなるようにお話をいただく予定です。
共催:日本聖公会中部教区 宣教局社会宣教部
いっしょに歩こう!プロジェクト中部
お問合せ:TEL.052-858-1007
メール:office.chubu@nskk.org
日本聖公会の出発点…長崎
昨年8月9日、長崎原爆の日に長崎聖三一教会で行われた九州教区の長崎原爆記念礼拝に出席し、午後、日本聖公会のルーツを巡る短いフィールド・トリップに参加しました。
教会からオランダ坂を登った一角に、アメリカ聖公会最初の宣教師であり、日本聖公会生みの親の一人でもあるウイリアムズ主教(当時・司祭)が住んでいた家のあった場所があります。ウイリアムズ主教が住んでいた場所に立てるとは思ってもいませんでしたので大変感激でした。また、少し離れたところには聖公会最初の会堂(礼拝所)のあった場所もありました。(いずれも、〝ここがそうだ〟という案内の標識が立っているだけですが。)
更に、出島に行きますと、日本聖公会としてはもちろんのこと日本のプロテスタント教会最古の神学校でもあった「聖アンデレ神学校」が―現在は資料館として―残されていました。聖アンデレ神学校は1877年(明治10)、英国聖公会宣教師のモンドレル司祭によって建てられました。現在は解体・修理が行われ復元された建物ですが、当時の面影を偲ぶことができます。明治の初めに建てられた神学校が残っているとは知りませんでしたのでこちらも驚きでした。
長崎は日本聖公会の宣教が実質的にスタートした地です。ウイリアムズ主教をはじめ初期の宣教師たちはまず長崎に上陸し、日本伝道に向かったのでした。当時は各教派のほとんどの宣教師が長崎に上陸し日本各地に散って行きました。そういう意味では長崎は聖公会に限らずプロテスタント教会の宣教の出発点でもあるのです。
原爆の日に当たり、犠牲者を覚え、核のない平和な世界を祈りつつ、合わせて日本聖公会の草創期の宣教に思いを馳せたのでした。
ワンダイム
新生病院ではこのたび、医療活動に加えて新たに二つのNPO法人を立ち上げつつあります。一つは「NPO法人パウル会」で戦前戦後、新生療養所の総婦長であったミス・パウルの名をいただいた法人で、サービス付高齢者住宅やグループホームなどの社会福祉施設を主に運営します。
もう一つが「NPO法人ワンダイム」です。〝ワンダイム〟はカナダの10セント銀貨〝one dime〟のことです。この名称は新生療養所建設にあたりカナダ聖公会が各教会に募金を呼びかけたとき、日曜学校の幼い子どもがワンダイムをきれいに磨いて献金したという話から来ています。新生病院の歴史、理念を継承していこうとする法人です。
ワンダイムは「歴史・理念の継承」「海外医療協力・被災地支援」「環境・交流事業」を活動の柱としています。具体的には現在の「ミス・パウル記念館」(ミス・パウルの元住居)を敷地内の他の場所に移築し、歴史資料の展示・保管や喫茶、売店の設置により新生病院のこれまでの歩みを紹介していきます。
また、新生病院の海外医療協力は今までも行われてきましたが、これからはワンダイムがその働きを継続していきます。かつてカナダ聖公会が日本の結核治療のために奉仕されたように、新生病院も医療を必要としている海外の国々のために奉仕をしていきます。また、被災地への支援も引き続き行っていきます。
更には、カナダ聖公会の思いを伝えていくためカナダメイプル(かえで)の種を蒔き、苗を育て、「メイプルの森」の実現を目指します。
これらの活動は中部教区も様々な面で関わりを持ちながら進められることと思います。皆様にも是非この活動を知っていただき、ご支援・ご協力をいただきたいと願っています。
聖公会神学院短期集中講座
2月16日(水)~19日(金)、『歴史の現場からの「語り」~戦後70年と宣教・牧会の検証』をテーマに開催されます。講師は、森元美代治さん(IDEAジャパン主宰)、金永泰さん(社会福祉法人サワリ代表)、花崎皋平さん(社会思想家・哲学者)。全期間参加の場合は食費・宿泊費込みで30,000円。1セッション単位での参加の場合は1コマ2,000円です。問い合わせ・申込は聖公会神学院(03-3701-0575)まで。
死刑執行に断固抗議します
2015年12月18日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
法務大臣 岩城 光英 様
死刑執行に断固抗議します
本日、東京拘置所において津田寿美年さん、仙台拘置支所において若林一行さんに対して死刑が執行されました。極めて遺憾であり、死刑執行に断固として抗議します。
死刑制度の存置が犯罪抑止力にならないことは統計上からも明白であります。また、足利事件、志布志事件、東電OL殺人事件、そして記憶に新しい袴田事件など冤罪事件が続発しており、今もなお冤罪を訴え続けている死刑囚がおります。ひとたび死刑が執行されれば、取り返しがつきません。
国際的に、死刑制度は廃止される傾向にあり、世界で死刑を廃止または停止している国は140か国に上ります。OECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は、日本・韓国・アメリカの3か国のみですが、韓国とアメリカの19州は死刑を廃止または停止しており、死刑を国家として統一して執行しているのは日本だけです。
わたしたちは現在、死刑の判決後キリスト教の信仰を受け入れ、受洗した死刑囚と共に信仰生活を送っております。また、これまでに、自分の犯した罪に真摯に向き合い、「生きて罪を償いたい」と贖罪の日々を送っていた5名の同宗の友を、死刑の執行によって奪われました。わたしたちの、死刑制度廃止を求める願いには切なるものがあります。
わたしたちは、神より与えられたすべての人の生命と尊厳、そして人権を守るキリスト教信仰にたって、一日も早い死刑制度の廃止を訴えます。岩城法務大臣には、是非とも多くの死刑制度廃止を訴えるわたしたち国民の声に耳を傾け、内閣及び国会の場において、死刑制度廃止に向け努力されますように、また、その法改正がなされるまで、決して死刑の執行をしないよう強く要請いたします。
以上
宗教法人日本聖公会中部教区
宣教局社会宣教部
要請書(安全保障関連法案)
内閣総理大臣 安倍晋三 様
防衛大臣 中谷 元 様
外務大臣 岸田文雄 様
衆議院議長 大島 理森 様
参議院議長 山崎正昭 様
要請書
2015年、日本は戦後70年を迎えました。日本は、かつてアジア・太平洋地域を武力侵略・植民地支配し、大きな犠牲を強いた戦争を引き起こしました。戦後、わたしたちは、破壊的な戦争の反省によって日本国憲法を作りました。この憲法は、戦争によって甚大な被害を受けた国内外の人々の尊い犠牲の上に作られたものです。特に憲法第9条は「武力による威嚇又は武力の行使の放棄」「戦力不保持」「交戦権否認」を定め、国内外で平和憲法と認められています。この平和憲法があるからこそ、平和国家として信頼され、平和的外交をすすめることができるのです。
しかし、2014年7月1日、安倍政権は、歴代政府が日本国憲法9条のもとで許された「必要最小限の実力行使」の範囲を超えると解釈し、禁じてきた「集団的自衛権の行使」を容認する閣議決定をしました。そして、2015年「安全保障関連法案」を強行採決し、9月30日、「安全保障関連法」は公布されました。
安全保障関連法は、自衛隊が「いつでも」(国際平和支援法)・「どこでも」(重要影響事態法)・「切れ目なく」(グレーゾーン)、他国が起こす戦争に介入し、武力を行使できるようにする「戦争法」です。わたしたちは、自衛隊を他国で戦う軍隊に変え、戦争をする国にするような法を認めることはできません。
安倍政権が掲げる「積極的平和主義」は「戦争で平和を創る」ということであり、集団的自衛権の行使を認め、世界中の戦場へ自衛隊を派遣することは、憲法9条に違反します。
安全保障関連法は憲法違反であるということから、安全保障関連法の廃止を求めます。
戦後70年にあたり、わたしたちは、あらためて悲惨な戦争を二度と繰り返さないという決意を明らかにし、正義・真理・愛・自由・いのち・平和・共生を求めていきたいと思います。
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(イザヤ書第2章4節)
以上
2015年11月23日
日本聖公会中部教区第87(定期)教区会