悪しき祭司

「ある祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。」
(ルカ10:31「善いサマリア人」より)

 7月、車で大きな交差点に差し掛かろうとした際、ある光景が目の前に飛び込んできました。進行方向に向かって右側、その交差点の真ん中で、こちら側にフロントガラスと屋根を向けて一台の車が横転していたのです。事故直後で、交差点で信号待ちをしている多くの人々が携帯で撮影し、まだ、警察も来ておらず、交通整理も行われていませんでしたが、事故車に人影はなく、事故に遭った人は既にどこかへ退避している様子でした。沢山の車が徐行で通り過ぎ、私の車のすぐ前の車が事故車の隣を通り過ぎようとした時、その車が突然、おかしな行動をしました。その車は事故車の真横で一瞬急ブレーキをかけ、徐行のスピードを更に減速させ、ハザードランプを点滅させながら事故車の隣を通り過ぎました。その直後、車を一瞬、路肩に寄せたかと思うと、再び道路中央に戻り、走り去っていったのです。

 すぐ前の車の不可解な行動に私は肝を冷やし、眉間にしわを寄せつつも、そのまま車を徐行させ、次は私自身が事故車の真横を通り過ぎました。ハンドルを握りつつ、事故車を横目に見た瞬間、すぐ前を走っていた車の不可解な行動全ての意図に、ハッとしました。横転していた車の車内は大きく膨らんだ2つのエアバッグしか見えませんでしたが、そのエアバッグがうごめいていたのです。「まだ車内に人がいる!!」。その瞬間、私は「助けなきゃ!」と思い、咄嗟にブレーキを踏みました。そして、車を路肩に寄せるため数メートル徐行しました。しかし、その数秒のうちに、私の思いは変わりました。「交差点の中で車を停めたら大渋滞だ」、「自分一人ではどうにもできない」、「すぐに警察が来て、安全に助け出してくれるだろう」と。そして、私は運転していた車を道路中央に戻し、そのまま車を走らせました。そして、自分に言い聞かせました。「今から納骨式がある。そこに私が遅れる訳にはいかない」と。

 「善いサマリア人」の譬え話では、私たちひとり一人に「行って、あなたも(*あの善いサマリア人と)同じようにしなさい」(ルカ10:37 *は筆者加筆)と語ります。しかし、善いサマリア人のようになることを求められている私たちの現実は、なかなかその通りにはいきません。むしろ、私たちの現実は、追いはぎにあった人の向こう側を通り過ぎた祭司やレビ人と同じことの繰り返しではないでしょうか。「道の向こう側を通って行った」祭司と全く同じである司祭…、私自身。その自分自身を見つめながら、「道の向こう側を通って行った祭司もレビ人も、あれから私と同じように後悔したのだろうか?言い訳を自分自身に言い聞かせたのだろうか?」と思いつつ、こう思いました。

 「大切なのはゼロから善いサマリア人になることではない。祭司、レビ人としてマイナスから後悔し、懺悔し、そして、変えられて善いサマリア人になることである。それが私たちの現実に根ざしたみ言葉の受肉である」と。後悔から生まれ変わること。道の向こう側を通って行った祭司もレビ人も、その後、変われたのでしょうか?その変化を信じることこそが、罪人である私たちの大いなる希望なのではないでしょうか。

司祭 ヨセフ 下原太介(主教座聖堂 名古屋聖マタイ教会牧師)

動画公開 2020年度教区研修会講演『中部教区の新たな歩みのために』

2020年9月20日(日)に、初めてWeb会議システムを使った教区研修会が行われました。
Youtube上では70名ほどの視聴があり、それぞれの教会で複数の方が参加されていましたので新たな教区研修会の可能性を感じることができました。詳しくは研修会報告をお待ちください。

当日の研修会の講演部分をYoutubeにアップしましたので、是非ご覧ください。

「2020年度教区研修会講演 ー中部教区の新たな歩みのためにー」

主教被選者 西原廉太司祭の主教按手・就任式について

新型コロナウィルス感染への対応のため延期になっておりました、主教被選者 西原廉太司祭の主教按手・就任式は、2020年10月24日(土)の開催が確定いたしました。

様々な制約の下での開催とはなりますが、リンク先の専用サイトをご参考頂きますようお願いいたします。

【主教被選者 西原廉太師 主教按手・就任式 専用サイト】
https://rentabishop.blogspot.com/

2020年度教区研修会のお知らせ

日本聖公会中部教区信徒の皆様

2020年9月4日
教区運営会議
総主事 諸岡研史

コロナ感染に加えて長雨、高温の夏と、厳しい状況が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。ことに4・5月の礼拝休止や、その後の状況への対応にご苦労が多いことと推察いたします。

そんな中、今年度の教区研修会も通常とは大きく異なる形で開催せざるを得なくなり、皆さんへのお知らせが大変に遅くなってしまいましたことをお詫びいたします。以下、今回の研修会スケジュールと内容、参加方法についてまとめさせていただきましたので、よろしくご確認をお願いいたします。

PDFデータ: 2020年度教区研修会のお知らせ.pdf(87KB)

主教座聖堂 礼拝等休止延長のお知らせ

8月より下記の礼拝について新型コロナ感染症感染拡大の影響により休止しておりましたが、下記礼拝について10月23日まで休止を延長しますことをお知らせいたします。

  • 毎週水曜日の聖餐式
  • 教区逝去教役者記念聖餐式(レクイエム)
  • 英語聖餐式

再開が決まりましたら再度ご連絡いたします。ご理解ご了承の程、よろしくお願いいたします。ご不明な点がございましたら、中部教区センターまでお問い合わせください。

中部教区センター
電話:052-858-1007

PDFファイル:主教座聖堂礼拝休止延期のお知らせ.pdf(143KB)

主教座聖堂 礼拝等休止のお知らせ

8月より下記の礼拝について新型コロナ感染症感染拡大の影響により当面の間休止といたします。

  • 祝日の聖餐式
  • 毎週水曜日の聖餐式
  • 教区逝去教役者記念聖餐式(レクイエム)
  • 英語聖餐式

再開の目処がつきましたら再度ご連絡いたします。ご理解ご了承の程、よろしくお願いいたします。ご不明な点がございましたら、中部教区センターまでお問い合わせください。

中部教区センター
電話:052-858-1007

PDFファイル:主教座聖堂礼拝休止のお知らせ.pdf(126KB)

中部教区センター開館時間変更

いつも中部教区センターをご利用いただきありがとうございます。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中部教区センターの開館時間を8月3日(月)より当面の間、10:00~16:00に短縮いたします。
ご不便をおかけするかもしれませんが、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

北信五岳のもとで

長野県に赴任して2年が過ぎました。新生病院のある小布施町は、山あいの、花に囲まれた里といった感じのところです。病院からは、地元の人から「北信五岳」と呼ばれる山々を眺めることができます。飯綱山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山。それぞれが美しく、個性的な姿かたちをもっています。

堂々と佇んでいる、山の姿。季節ごとに変わりゆく緑に彩られつつ、変わることのない、その安定に魅かれます。山々はまるで、イエスの弟子達のように、私には感じられます。復活のイエスに出会って人生を変えられ、生きることの確かな拠り所を得て、信仰の旅路を歩き通した、諸先輩の姿のようにみえてくるのです。

私はこの山々のもとで、病院のチャプレンとして働いています。「病気と向き合っている患者さんやご家族と過ごす」という役割をいただいたことを、私は嬉しく思っています。その一方で、慌ただしい毎日の中、ふと自分が、足元ばかり見つめて歩いていることに気付きます。

夕の祈りを終えて職場を出るとき、「今日の働きを終えることができた」という安堵感と共に、今日病棟で出会った人や、見送った人のことを思います。交わされた言葉や、共に過ごした時間を思い起こし、「あれで良かったのだろうか」「こんな挨拶をしてみよう」「明日はどうしようか」などとあれこれ考え、頭がいっぱいになったまま家路につくことも少なくありません。

しかし、私の思いを越えて、目の前には、広々とした夕暮れの山脈の景色が広がっています。鳥の鳴く声が聞こえて、
顔を上げると、山々が雲をまとって、遥か向こうから見下ろしています。何も言わず、穏やかに、その場所にそれぞれに在り続ける山々の姿が、私の気持ちを解きほぐしてくれるのです。

かつて新生療養所(新生病院の前身)で看護師長を務めていたカナダミッションの宣教師、ミス・パウルは、「目を上げて、私は山々を仰ぐ」(詩編第121編1節)から始まる詩編を好んでおられたそうです。同じ景色を、ミス・パウルも眺められたのかと思うと、この場所で患者さんの看護のために人生を捧げた彼女に、時を越えた親しみをおぼえます。

6月より礼拝が再開し、信徒の皆様との祈りの時間が再び持てるようになったことは、心からの喜びです。夕の祈りに参加してくださる方々にも、力をいただいています。北信五岳のような確かさに憧れつつ、決してそうはなれない私ですが、本当はいつも、確かな存在に、そして信仰の家族である兄弟姉妹や、職員、ボランティア、患者さんやご家族など、沢山の人達に手を引かれて歩いているのです。

今日も私のことを、笑顔や嬉しそうな顔、苦しみに満ちた顔、悲しい顔、怒った顔、寂しげな顔など、様々な表情で迎えて下さる方々が、待っています。生きることの確かさは、やはりそれらの方々と一緒に、一日を精一杯過ごすことから生まれてくるのでしょう。

感染症の流行や大規模な自然災害が、今世界中の人々を恐れと不安の中に巻き込んでいます。しかし、目を上げて、「わたしの助けは来る/天地を造られた主のもとから。」(詩編第121編2節)という願いを持ち続け、皆様と手を取り合い、歩んでいきたいと思います。

執事 洗礼者ヨハネ 大和孝明
(新生礼拝堂牧師補、新生病院チャプレン)

鐘楼のブルーライトアップ

中部教区主教座聖堂では、新型コロナウイルス感染症の治療に尽力されている医療従事者や、その他の社会を支えるエッセンシャルワーカーの方々に謝意を表して、6月から鐘楼をブルーにライトアップしております。

日没から夜の9時頃、名古屋市御器所の近辺をお通りの際は是非ご確認ください。

<主教座聖堂 住所>
〒466-0034
愛知県名古屋市昭和区明月町2-53-1

青くライトアップされた中部教区主教座聖堂の鐘楼

6月の教区逝去教役者記念聖餐式中止(7月と合同開催)の件

6月15日(月)に予定されておりました教区逝去教役者記念聖餐式(レクイエム)は、諸般の事情により7月と合同で行うこととなりましたので、お知らせいたします。
尚、ともしび5・6月号にも案内が出ておりますが、このような状況ですので、その旨ご了解いただきますようお願いいたします。