教区間協働!?再編!?(7)“再編、合併のメリットは?”(一)

 前回お伝えしたとおり、大阪教区と京都教区の2024年の合併は見送られることになりましたが、日本聖公会全体として教区再編の動きが停滞したわけではありません。4月23日に日本聖公会で初めて女性の主教に按手された笹森田鶴北海道教区主教は、就任挨拶の中で、教区再編と宣教協働について言及し、今後も重要課題として取り組んでいくことを明言されました。その温かくも力強い言葉を聴き、心揺さぶられ、大いに励まされました。
 ところで、教区の再編や合併について討議するとき、必ずと言ってよいほど「メリットは何か?」という質問が発せられます。私見の域は出ませんが、教区再編、合併の最大のメリットは、「弱点も含めてそれぞれの違い、多様性を受容し合うことにより、宣教の豊かさ、活性化に繋がる」ということです。このインクルーシブな共同体理解は、聖公会信仰の真髄とも言えるのではないでしょうか。勿論大きな変化は、一時的に混乱や痛み、不安定さをもたらすことが予想されますが、愛に基づく互いの祈りと信頼によってそれらを克服したときに与えられる恵みや喜びは、計り知れないものがあると思います。そこから、閉塞状態に陥って右往左往している私たちに、進むべき新たな道が拓かれるのでは…という期待もあります。
 また、物理的にも多くの人との出会いや交流機会の増加により、新たな刺激や気付きが与えられることもメリットと言えます。各教区で行われている様々な活動に、教区の枠を超えて参加できる仕組み作りが必要です。特に中部教区は、青少年を対象とした活動が長く低調であると感じます。私自身もおぼろげながら聖職志願を意識する契機となった出来事は、中学生時代に参加した横浜教区の清里聖アンデレ教会で開催された冬季キャンプでした。 ―続く―