10月11日は、カミングアウト・デーという日でもありますが、今回は別のお話です。
皆さまは、ご存じでしょうか。昨年2012年、新たな国際デーとして国連は10月11日を「国際ガールズ・デー」という日に制定しました。
この「国際ガールズ・デー」は、現代の日本ではあまり考えられないかもしれませんが、「女の子」だからという理由で、男の兄弟たちは学校に行けても、女の子は学校に行くことが出来ず、働かなければならないこと、男の兄弟たちは良い食事を食べられるが、女の子は十分な栄養を取ることが出来ないこと、暴力や性的嫌がらせの被害に遭う確率が高いことや児童婚など、とても厳しい状況に置かれている女の子たちが、世界中には多く存在することを広く知ってもらい、女の子の人権が尊重されることを目指し、制定されました。
日本では、6歳から始まる小学校での6年間と、12歳から始まる中学校での3年間が義務教育であり、女の子と男の子の区別なくその保護者は、子どもに教育を受けさせなければなりませんので、基礎教育に男女格差があり、それがとても大きいものであることなど、想像が出来ないかもしれません。しかし、この基礎教育の男女格差は、当然のことながら成人の識字率にも反映され、女性の経済的な自立の妨げにもつながっているのです。
他にも、児童虐待、家庭内暴力や性的虐待などの被害者には多くの女の子が含まれ、国によっては、出生未登録や未就学のまま、恒常的な児童労働に従事させられている女の子も多く、人身取引が多発している国、地域も少なくありません。
女の子の教育の機会を確保し、女性の自立支援を促進すること。また様々な暴力から、特に女の子を守る試みがなされ、人身取引被害者が無くなるように、対策を講じて、世界中の一人でも多くの女の子が、明るい未来に向かって歩みを進めることが出来るように、関心をもって行くことが求められています。
しかし、これは何も国外の出来事への関心で終わるものではありません。日本には、基礎教育の男女格差や、児童労働、児童婚、人身取引などは目に付くことはないかもしれません。しかし、昨年の宣教協議会の「日本聖公会〈宣教・牧会の十年〉提言」の5つ目の項目、「主にある交わり、共同体となること〈コイノニア〉」で、教会・教区・管区の意思決定機関での、女性比率が30%になるように促されています。このようにわたしたちの周りでも、残念ながらまだまだ男女平等は実現されているとは言えないのが、現状です。だからこそ、わたしたちは、身近な女の子に関心を向けるよう促されています。
わたしたちの身近な、女の子たちが、自分たちの未来に希望がもてるように、わたしたち教会が、女性と男性がともに、神の似姿として造られていることを、目に見える形で示して行くことが、求められているのです。教会委員はもちろん、教区会代議員、総会代議員、教役者にもっと女性が増えるように、祈りながら働いて参りたいと思います。
司祭 アンブロージア 後藤香織
(名古屋聖ヨハネ教会 牧師・愛知聖ルカ教会 管理牧師)