2020年に開催された日本聖公会第65定期総会において、日本聖公会の宣教体制強化と教区再編をはかるため、日本聖公会を3区域に分け、複数の教区で構成される「宣教協働区」が設置されたことは既に述べたとおりです。
中部教区は、横浜、京都、大阪各教区とともに「中日本宣教協働区」に属し、これまで7回にわたる協働委員会が開かれました。同委員会の役割は、区内の運営、宣教・牧会などについて協働を推進し、また教区再編について検討することです(法規第128条の2)。年内には4教区合同のチャプレン研修会が計画されていますが、そのような教区の枠を超えた様々な会合や交流会、リトリートなどがより積極的に実施されることを願っています。中部教区ではこれまでも、高田降臨教会と直江津聖上智教会が京都教区の北陸伝道区の諸教会と、豊橋昇天教会は静岡にある横浜教区の教会との交流、懇親を定期的に深めてきました。今後はもう一歩進んで、教区同士の協働へと発展できればと思います。その中で教区の再編、合併のメリットも自ずと見えてくるのではないでしょうか。
組織的観点から言えば、再編や合併により教区区域が大幅に拡がることによって、長年の懸案であった硬直化した教役者の人事配置の課題から解放され、適材適所度が格段に高まることは間違いありません。もちろん移行期の混乱や煩わしさは生じるでしょうが、その試練の先には財政面も含めてスリム化や効率化の実現が期待されます。しかし、それにも増して私が大切にしたいことは、それぞれの歴史や伝統、慣習等を尊重しながらも、一度原点に立ち返って、新たな教区の宣教の可能性について率直に話し合い、これからの教区を自分たちの意志で創り上げつつ次世代へバトンを繋いでいくことです。そのような機運が高まることを願って止みません。