辺野古での基地建設のためのボーリング調査即時中止を求める

内閣総理大臣 安倍晋三 様
防衛大臣   江渡聡徳 様
沖縄防衛局長 井上一徳 様

辺野古での基地建設のためのボーリング調査即時中止を求める

8月18日より名護市辺野古沖への米軍新基地建設のための海底ボーリング調査が強行開始された。
このボーリング調査を実施する上で、当事者が根拠にしている理由は、沖縄の大多数の有権者が承知したものとは言い難いものです。この基地建設を実施するために、アセスの手続きが行われたが、2011年12月末に提出された評価書は未明に運び込まれ、受理はされたものの、おおよそ正式に提出されたものではなく、内容もそれまでに示された意見に十分応えたものではない。そして、県外移設を公約して当選した現沖縄県知事は2013年末に、公約を撤回し、国の辺野古埋め立て申請を承認してしまった。直後の県内世論調査では、7割の県民が公約違反であると答えている。県知事を支えてきた与党からも多くの批判の意見が出された。この事態を受けて、1月19日実施された名護市長選は基地建設反対の現職が大差で当選した。辺野古埋め立て着手のもう一つの根拠は地元名護漁協の同意である。しかし、名護漁協の組合員で辺野古を漁場として利用しているのはごく一部の人だ。辺野古の海は、漁業組合だけのものではない。政府は税金を、少数の有力者の買収とみえるような不当な使途に使い、住民を分断しているようにみえる。9月7日の名護市議選では、建設に反対するグループが引き続き多数派となった。9月3日には、県議会でもボーリング調査中止の意見書が可決されている。直近の沖縄県の世論調査でも8割が移設中止すべきと回答している。ボーリング調査反対を訴える市民に、本来市民を守るべき、警察や海保を差し向け、暴力まで振るわせるとは何事か。国連人種差別撤廃委員会も過度な基地集中に対して8月末に沖縄の人々の権利を保護するように日本政府に勧告している。
1995年の米兵少女暴行事件で、沖縄県民が求めたことは、二度とそのような悲劇が起こらぬよう日米地位協定を改定することだったが、県民の要求は聞き入られず、普天間基地移設に問題をすり替えて今日まで時間が過ぎてきた。普天間基地即時閉鎖返還されるべきものだが、返還されたとしても、沖縄の十分な負担軽減には繋がらない。このような状況下、もう一つの当事国アメリカでも、住民不同意の基地建設強行に親日の有力者からも懸念が表明され、また、自然文化を保護する法律(NHPA)下でジュゴン裁判の再審が受理された。
私たち、平和を希求するキリスト者はかつて創世記1章28節の「地を従えよ」を読み違え、自然環境を破壊してきた過ちから反省し、詩編24章1節「地とそれに満ちるもの、世界とそのなかに住む者とは主のもの」を託されたものとして、豊穣の海を埋め立てて、国のエゴを通すために小さくて弱い罪なき生命を奪う軍事基地の建設に反対し、基地建設準備のためのボーリング調査の即時停止を願うものである。

2014年9月12日
日本聖公会中部教区社会宣教部沖縄プロジェクト