2000年代に入ってからの教区制改革の動向については、中部教区が先導的役割を担ってきたことなど、既に本欄で触れましたので割愛しますが、各教区間で様々な協働、交流が実践されてきました。その中でも特に、大阪教区と京都教区の合併を見据えた協働関係の深化は、今後の日本聖公会全体の教区再編へ向けての試金石的な取り組みとして注目されることになりました。
大阪・京都両教区では2006年から合同の教役者会や常置委員会等が継続して開催され、2011年の両教区会で「大阪教区と京都教区の協働及び合併に関する検討委員会」の設置を決議しました。そして同委員会の「合併は必要かつ可能であり、合併を実行に移すべきである」との最終報告を受け、2013年の両教区会では「大阪教区と京都教区の合併を推進する委員会」の設置を決議、その後議論の末2017年に「特別協働教区」関係協定書が交わされ、「大阪・京都特別協働教区運営委員会」を中心に、合併を視野に入れたより具体的で実際的な協働プログラムが実施されてきました。そのような経緯を経て、昨年(2021年)の両教区会において2024年4月の合併を承認する議案が提出されました。
しかしながら、採決の結果、京都教区は可決しましたが、大阪教区は可決必要数に達せず否決となり、2024年の合併は見送られることになりました。この結果は日本聖公会全体にも大きな衝撃を与えましたが、組織成立当初からの課題である教区再編実現の困難さを改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。しばらくは教区合併等による再編の動きは停滞するかも知れませんが、信徒数・聖職者数等から考えても、世界の聖公会(諸管区)と比べて極めて教区数が多い日本聖公会の実情を真摯に受け止め、日本聖公会全体の宣教の活性化のために、教区再編の議論と取り組みを継続していくことが大切であると思います。