「戦後70年を迎えて」

 寒中お見舞い申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 さて、今年は太平洋戦争の終結(敗戦/終戦)から数えて70年目になります。戦後70年という年を迎え、わたしたちは改めて先の戦争に思いを向けたいと思います。日本聖公会主教会では今年の8月、全主教が沖縄に集結して戦後70年を覚え、平和のために礼拝を献げることになっています。また、広島、長崎における平和記念礼拝、原爆記念礼拝にもできるだけ参加することを申し合わせています。また、管区や教区においても70年を迎えての計画が考えられることと思います。一人でも多くの皆様が何らかの形で関わっていただきたいと願っています。
 1985年5月、当時の西ドイツ大統領であったヴァイツゼッカー大統領が、ドイツの敗戦40周年を記念して「荒れ野の40年」という記憶に残る演説を連邦議会で行いました。同大統領は「5月8日(ドイツ敗戦の日)を心に刻まなければならない」と言い、そして「心に刻む」とは「ある出来事が自らの内面の一部となるよう、これを誠実かつ純粋に思い浮かべることである」と言っています。
 過去の出来事(歴史)、殊に「負」の出来事を思い浮かべることはつらいことです。しかし、その出来事に誠実に向き合わない限りその後の和解や平和はないのです。
 日本聖公会は1996年の総会において、「日本聖公会の戦争責任に関する宣言を決議する件」を採択し、戦前・戦中における日本国家による植民地支配と侵略戦争を支持・黙認した責任を認め、その罪を告白しました。
 その決議から20年が経とうとしていますが、日本の現状を見るとき、「戦後70年」を今改めて心に刻むことが求められているように思えるのです。