確かな錨、希望の灯台として

 中部教区とフィリピン聖公会北中央教区との宣教協働が2004年に始まって間もなく、同教区から「岐阜に在住するフィリピン聖公会信徒の霊的ケアができないだろうか」との相談が寄せられました。この呼びかけが、思いもよらない実りを結ぶこととなります。
 当時、岐阜県可児市周辺に暮らしていた彼らの願いは、「定期的に礼拝を捧げたい」という素朴なものでした。その願いは2009年の伝道所開所を経て、2013年、可児聖三一教会の設立へと結実しました。
 その歩みの中で、中部教区は、礼拝を守るだけでなく、
「可児ミッション」として保育事業を展開することになりました。しかし諸般の事情が重なり、2017年にはこの事業を閉じざるを得なくなりました。それでも、「礼拝を捧げ続けたい」という信徒の願いが途絶えることはなく、礼拝は守られ続け、今日に至っています。
 可児聖三一教会について、かつてこの教会に約2年通い、現在は他国で働いている方が、SNSで次のように記しています。
 「海外労働者にとって、キリスト教徒が少数派の国で『わが家』と呼べる教会を見つけるのは容易ではありません。しかし幸いなことに、私たちは可児市で、英語による礼拝があり、コルディリエラ地方出身のフィリピン人が多く集う教会に出会うことができました。日本に来て以来、この教会は私たちにとって、まさに『スピリチュアル・アンカー(魂の錨)』でした。そこは単なる礼拝の場所ではなく、確かな『家族』であり、生涯の友情を築く場所にもなりました。同胞の皆さん、近くに来られた際はぜひ足を運び、このコミュニティの温かさと信仰の強さを体験してください。」
 ここで用いられている「スピリチュアル・アンカー」という言葉は、ヘブライ人への手紙6章19節の「私たちはこの希望を、魂のための安全で確かな錨として携え、垂れ幕の内側へと入って行くのです」という聖句を思い起こさせます。生まれ育った国を離れ、言葉や文化の異なる地で働き、生活する彼らにとって、可児聖三一教会は、神の愛に固くつながっていることを示す確かな「錨」であり、人生の航路を照らし続ける「灯台」として、豊かに用いられていることを強く思わされます。
 現在、可児聖三一教会の主日礼拝出席者数は、中部教区内においてトップクラスの規模となり、若いファミリー層を中心に、礼拝堂には子どもたちの声が響き渡っています。復活日や降誕日には50名を超える方々が集い、礼拝堂に入りきらず、外にまで人があふれるほどです。また、洗礼式はもちろん、誕生会、自家用車や自宅の祝福式なども頻繁に行われています。昨年1月の葬儀では、フィリピンの伝統文化である「ウェイク」(何日にもわたって昼夜を問わず次々と人々が訪れて祈りを共にする時)を執り行うこともできました。これは、礼拝堂が与えられているからこそ果たし得たことでした。
 これからも可児聖三一教会が、異国の地で歩む一人ひとりを神の愛にしっかりと結び留める確かな錨となり、希望の灯台であり続けることを願ってやみません。

司祭 ヨハネ 相原太郎
(一宮聖光教会牧師)