真に和解を望むなら

 6月27日から7月5日まで北アイルランド・ベルファストで開催された「第19回・全聖公会中央協議会」(ACC-19)に参加させていただきました。サラ・ムラリー第106代カンタベリー大主教も全期間参加され、親しい交わりの時ともなりました。
 会議期間中、私たちは北アイルランド、ロンドンデリーの街を訪れたのですが、その中で伺った「血の日曜日事件」の被害者の方の証言には大きく胸を揺さぶられました。「血の日曜日事件」とは1972年1月30日、平和的にデモ行進中の市民27名が英国陸軍落下傘連隊に銃撃され14名が死亡し多数の負傷者が出た事件です。セント・オーガスティン教会で私たちはリチャード・ムーアさんの話に耳を傾けました。当時、10歳だったムーアさんは、その日、兵士が発射したゴム弾に直撃され失明されました。それから30年以上が経過した後、ムーアさんはその責任者である兵士を探し出し、面会を果たしたのです。そのチャールズ・イネスという元兵士と向かいあう時を振り返りながら、ムーアさんはこう語られました。
 「彼は私や母、父を傷つけた者なのです。私には、自分の仲間や他の犠牲者たちを裏切ることになるのではないかとの躊躇もありました。それでも、私は、彼に会いたかったのです。状況がどれほど困難に見えても、相応しい支えと愛、そして思いやりがあれば、他者の人生にも貢献できるし、直面している困難を乗り越え、それを前向きな力に変えることができるのです。真に和解を望むなら、それは自分自身の中から始めなければならないと私は信じています。自分の心を和解させることができれば、他の人々に手を差し伸べることができるのです」
 出会い、そして、ゆるしへと至るムーアさん自身の道のりについての語りは、世界中から集まった聖公会の人々の心を深く動かしたのです。