私は今、NHK連続テレビ小説『風、薫る』のキリスト教考証を担当させていただいています。『風、薫る』は、近代的な看護を日本で初めて実践し、看護師という働きの礎を築いた大関和と鈴木雅をモチーフとした二人のナース、一ノ瀬りんと大家直美が主人公です。実際の大関和は熱心なキリスト者として、看護のみならず、日本キリスト教矯風会などの働きにも大きな貢献を果たしました。二人が学んだ桜井女学校は、米国長老教会の経営のミッションスクールとなり、1886年に看護婦学校を設置、後に女子学院となります。さらには同校を母体として、新潟県の高田女学校も開設されます。大関和は1890年、高田女学校の伝道師及び看護婦を務めた後、1891年には高田の知命堂病院の初代看護婦長を担います。
今回の『風、薫る』は、大関和、鈴木雅を「モデル」とするのではなく、あくまでも「モチーフ」で、実際の二人の歩みを史実的に辿るものではありません。NHKからのご依頼は、大家直美が世話になった教会、ミッションスクールとしての看護学校などをめぐっての考証でした。大関和が指導を受けた長老派の大牧師、植村正久牧師などは登場しないものの、長老派教会の雰囲気などを意識した考証を心がけました。
当初、NHKから吉江善作牧師役が原田泰造さんと伺った時に、少しイメージが湧かなかったのですが、いつも直美が自分らしく生き、自立していくことを、祈りをもって見守り、彼女に心底、共感する吉江先生を見事に演じられています。直美の話を聴きながら、また、彼女が綺麗な髪を切るのを手伝いながら、ぼろぼろと泣く吉江牧師。そんな姿をスタジオで間近で見ながら、確かに牧師とは、信徒のために祈り、自らも胸を痛め、その人のために涙を流すことのできる者でなければならないと、あらためて教えられたのです。
