中部教区は今年教区成立100周年を迎えましたが、小布施の新生病院は今年の秋に創立80周年を迎えます。長野のウォーラー司祭をはじめとするカナダ聖公会宣教師たちの、日本の結核を何とかしたいという強い願いと祈りが実現し、小布施に新生療養所が開所したのは1932(昭和7)年9月のことでした。
当時の最先端の医療技術と設備を備えた療養所として、全国から多くの結核患者を迎え入れました。院長であるスタート先生やスタッフの献身的な働きは今日に至るまで語り継がれています。スタート先生の在任期間は戦前戦後合わせて10数年と、決して長くはありませんでしたが、「愛と祈り」の医師として多くの人々に大きな影響力を与えたのでした。
しかし、新生病院を支えてきたのはもちろんスタート先生だけではありません。戦中の病院存亡の危機には病院・教区の関係者たちが必死の思いで療養所を守りました。また、戦後しばらくして結核が終焉を迎えるようになってからは徐々に一般病院に移行していきましたが、カナダミッションからの援助停止、医師不足等、難題がたくさんありました。しかし、その都度、関係者が祈りつつ知恵を出し合い難局を乗り越えて来ました。
このように新生病院80年の歴史は祈りの歴史と言えます。病院に関わる人たちの『新生病院を何とかしなければ』、『新生病院を少しでも良い病院に』という強い思いや願いは『祈り』そのものです。そのような祈りがあるところには必ず神様の導きがあるのです。数々の困難を乗り越えて来た新生病院の歴史はそのことを証ししています。これからも新生病院はその『祈り』に支えられて90年、100年へと向かって行くのです。