教区内の幼稚園・保育園がだんだんと認定こども園に移行しつつあります。既に三条、直江津がこども園化され、この4月からは松本、稲荷山も幼保連携型認定こども園に移行しました。それぞれの園が子どもたちへの教育と保育、そして子育て支援に今まで以上に努められますよう願っています。
先日、稲荷山で開園記念式典がありましたが、稲荷山幼稚園は幼保連携型認定こども園「稲荷山くるみこども園」という名称に変わりました。なぜ「くるみ」なのか平部延幸園長が説明しておられました。かつて稲荷山の教会にはたくさんのくるみの木があり、戦前戦後を通じて教会や幼稚園の財政を支えてきたそうです。今はなくなってしまいましたが、そのことを忘れないために「くるみこども園」と名付けたそうです。
そう言われてみますと、長野県の多くの教会には確かにかつて大きなくるみの木がたくさんあったように記憶しています。推測ですが、その背景には教区最初期の宣教師の一人であり、長野の教会で長く牧会されたウォーラー司祭がくるみの木を植えることを奨励したためではないかと思われます。
長野聖救主教会発行の「ウォーラー司祭―その生涯と家庭」にはウォーラー館の庭のくるみを盗みに入った子どもたちが同司祭からこっぴどく叱られたこと、また、くるみは大切に乾燥させ、売却代金は教会会計に入ったことが記されています。神学生のためにも使われたと聞いています。
ですから、単純に教会の庭にくるみの木がたくさんあったということではなく、一本の木にも教会の働きに奉仕するという存在意義があったのです。くるみの木にもそのような歴史があることを稲荷山の開園式典に出席して改めて感じました。