私は新潟に来てから、夏のキャンプのシーズンがやってくると同じ夢を見る人になります。この2年間はキャンプから帰ってきたらいつも、子ども日曜学校を作ろうと思いました。夢見るだけの人でとどまっているのかも知れませんが……。
さて、今年も子どもたちに大きなことを学んだキャンプでした。チャレンジキャンプの日程は8月の10日からでした。新潟からは3人の子どもたちが参加しました。柏崎あたりを通っていたところ、急に、雷を伴う滝のような激しい雨が降り始め、前方が何も見えない状況の車の中でこういう話をしました。
「去年もキャンプファイアが出来なかったのに、今日も無理かな~? 残念だね」
そのとき、小学2年生の風間剛くんにこう言われました。
「先生、でもね、僕は雨がずっと続いて降って欲しいな」
「なぜ?」と聞いたら、
「雨が止んだら、虹がすごく綺麗に見えるでしょう」と答えました。
なるほど。夢とは今すぐ自分がやりたいキャンプファイアを求めるようなことではなく、思わぬところで現れる小さな感動を期待するようなことではなかろうかと気づかされました。結局、雨は止み、初日の夜はキャンプファイアが楽しめました。
キャンプの最後の日のことです。小学5年生の佐藤菫ちゃんが入っていたグループから、キャンプの中でいろんなことを教えてくれたり、手伝ってくれたりした大人の方々にお礼の歌をプレゼントしたいので、集まってもらいたいという話がありました。
初めて聞いた歌でしたが、最後の歌詞が「アイ ビリービン フューチャー 信じてる」で、メロディーも綺麗でした。何より感動したのは、子どもたちの心が感じられたことです。その感動を忘れたくなかったので、そのときの心をそのまま短い曲として残してみました(写真)。
夢とは心を動かせることで、動けば動くほどその動きが大きくなるようなことだと感じさせられました。
キャンプの間、プログラムディレクターとしてキャンプ全日程を活発にサポートしてくれた漆原隆二さんという人がいました。帰りの車の中で、小学4年生の風間光くんにその人の話をしながら、
「チョン先生はね、その人の明るい性格がうらやましいんだ」と言ったら、光くんはこう言ってくれました。
「先生もきっとそうなれるよ」って。
ただ、うらやましいと言うだけの夢、そして日曜学校を作りたいと思うだけの夢などは、何の力もなく無意味のように見えるかも知れません。しかし、いますぐでなくてもいつかは綺麗な虹が現れるだろうと、そして私と同じ夢を見る人が一人二人現れるだろうという期待をもって、激しい雨の中、ハンドルを握っていたときをもう一度思い浮かべてみました。
司祭 イグナシオ 丁 胤植
(新潟聖パウロ教会牧師)