6月18日から開かれる管区の「沖縄の旅」に今年は参加させていただきたいと思っています。今から24年前、中部教区の教役者会で沖縄を訪問し、戦跡を巡り、沖縄戦の話を聞き、沖縄教区の教役者の方々とも交わりをさせていただきました。わたしにとりましては初めての沖縄訪問で、沖縄の過去と現実を認識させられた大変貴重な経験でした。
強く印象に残っていますのは、ある信徒の方のお話でした。沖縄戦末期、住民たちがガマに逃げ込んでいた時の話だったと記憶しています。その方のお母さんがある時、その方の弟か妹である赤ちゃんを連れてガマを出て行ったそうです。そして、帰って来た時にはお母さん一人だったそうです。赤ちゃんはどうなったのか。お母さんはその後その事については一切語らなかったそうです。
このような悲しい物語は沖縄戦では枚挙にいとまがないのです。沖縄戦に限らずすべての戦争においてそうなのです。一番弱いところにすべての犠牲が向かってしまう、そのような現実こそが戦争の偽らざる実態だと思います。
もう一つ印象深かった話は、ベトナム戦争時のことで、爆撃機が沖縄からベトナムに飛び立っていたのですが、基地で働く人々が良心的サボタージュとして兵士の着る防弾チョッキの修理を故意に遅らせたそうです。基地で働く人たちの戦争への精一杯の小さな抵抗です。わたしたちはそのような小さな抵抗にこそ思いを向けなければならないのではないかと強く感じました。
65年という年月が経っても未だに沖縄から基地がなくならない。改めてその現実を直視しますと愕然とします。普天間基地問題も迷走しています。今年はぜひ現地で沖縄について考えたいと思っています。