「ハミルトン主教と日本アルプス」

中部教区は2012年に教区成立100周年を迎えます。教区ではH・J・ハミルトン主教が1912(大正元)年10月18日、カナダで中部教区の初代主教に按手された年を教区設立の年と定めています。2012年10月8日には記念礼拝を計画しています。カナダ聖公会首座主教にもおいでいただきたいと思っています。教区の皆様も今から是非予定にお入れください。

ハミルトン主教は1892(明治25)年に来日し、すでに名古屋で伝道を始めていたロビンソン司祭に合流しますが、その2年後の1894年7月、日本アルプスを世界に紹介したことで有名なウェストン司祭と共に北アルプスを北から南に縦断し、最終的に御嶽山までの登山を敢行しています。ウェストン司祭の『日本アルプス 登山と探検』によりますと、ハミルトン主教はカナディアンロッキーでの野営生活の経験が豊富であり、この登山では料理長兼写真師の役割を引き受けたと記されています。前掲書にはハミルトン主教が撮った写真がたくさん掲載されていますし、旅の途中の村では、パン屋にパンの作り方を伝授したことも記されています。白馬岳への登山では熱を出してしまい、宿舎に一人取り残されてしまいます。きっと残念な思いだったに違いありません。

わたしはその登山のことを20数年前に新聞で知り、写真を見る限りではとても厳格な感じを受けていたハミルトン主教の、登山で料理を作り、写真を撮っている若き姿を想像して、何となくホッとした思いがしました。その登山で訪れた直江津(高田も経由)、糸魚川、福島にはその後教会が建てられたことを考えますと、その登山も中部教区にとっては神様のご計画のうちにあったのでしょうか。